反復作業

子供時代によく友達と、マリオカート(テレ
ビゲーム)をして遊んでいた。順位を競うレ
ースも楽しかったが、コース記録を作るタイ
ムアタックモードが好きだった。コンマ1秒
でも速く走るにはどうしたらいいのか考える
のが楽しかったので、一日中熱中して同じコ
ースをひたすら繰り返し走った。友達からは
「一人で同じコースを繰り返し走って何が楽
しいかわからない」と言われたりもしたが、
気にならなかった。

デナリは高度順応と荷揚げを兼ねて、同じコ
ースを2往復して登った。せっかく苦しい思
いをして登ったのに、降って、また登るので
正直、「せっかく登ったのに降るのか」とい
う気持ちにもなる。そのような気持ちで
同じ
コースを繰り返し登っているうちに
ふと、昔
マリオカートをしていた時の感覚を思い
出し
た。いかに、1回目よりも2回目に登る
時の
ほうが楽に効率的に登れるかを考えながら登
ると、同じコースを繰り返し登るのが苦にな
らなくなった。

学生時代(大学生時代からを)振り返ってみ
ると、試験勉強
の暗記も、苦手ながら漠然と
繰り返すことで覚えていた。
今となって気づ
たのが漠然と繰り返すよりも、実験的に繰
返すことのほうが楽しい。試験勉強も、マ
リオカートをする
感覚で実験的に繰り返して
勉強できていた
ら、少しは試験結果が変わっ
ていたかもしれ
ない。それでも、苦手意識を
もって漠然と反復作業をする免疫力がついた
と思う。

話が逸れるが、日本人は体操やフィギアスケ
ートなどのように、同じことを反復
練習し
て、本番で同じように表現するスポーツが強
い気が
する。逆に、本番で瞬時に直感的な判
断が問われるスポーツは得
意でないように思
う。例えば、サッカーだと
ドリブルで持ち込
んでシュートを決めるタイ
プの世界的なスト
ライカーが中々生まれな
い。(ど素人目線
で)同じシュートでも、
フリーキックの名手
はいるのに不思
議である。

兎に角、マリオカートで同じコースを実験的
に繰り返していた経験がデナリで生きた。漠
然と同じコースを登るか、実験的に考
えなが
ら同じコースを登るのかでは、しんどさ
が全
く変わる。それでも、同じことの繰り返
しと
いうのは根気がいる作業なので、学生時
代に
苦手ながらも漠然と試験勉強した暗記作業
(反復練習)の
経験も生きたと思う。

参考動画
(マリオカート64のタイムアタックモード)

今夜はブギーバック

なんとなく愛されて
ゆるーいサビが記憶に残る曲

全ての始まりはこの方々から

オザケンさんのゆるーい感じが愛される

次はアップテンポバージョン

これも速くなったんだけどゆるーいー

珍しくKREVAが歌うバージョンまで

ダッンスフロ〜ア〜に
サビがなんとなく頭に残る、残る、残る

トリは現代バージョンで

今もなお愛される

さらに
宇多田ヒカル
櫻井翔バージョンなどもあるので
なんとなく聴きたくなった方は
お探しを

次にこの曲をカバーしたくなる症候群に
襲われるのは誰だろう?

力の抜きどころ

デナリを登る半年前から頂上にたどり着くま
で常に考えていたことが、「いかに楽に登
か」だった。私の中で「楽に登る」とは、禅
をしている時と同じ心境でいられるかであ
る。(高山病症状を感じながらも)心肺機能
を上げるためにトレーニングするのも、高所
トレーニングをするのも、本番で楽に登り、
最終アタック日に最大限の力を発揮するため
である。

長丁場の戦いを乗り切るには、勝負所を見極
めて力加減をするのが重要。オリンピックを
見ていても、メダルを獲るような短距離の陸
上選手は予選、準決勝は流して走って、決勝
で力を出し切る。人間は自分の器の限界付近
の力を出すと、必ず反動がくる。長期間常に
全力を出すのは難しいのだ。水泳の萩野さん
も、200m個人メドレーの決勝でマイケル・
フェルプスと戦った後に、「オリンピック6
日間を通して戦い切る力がなかった。素直に
疲れました。」と述べられている。

デナリの長期戦を乗り切るために、登りから
下山までの力配分でイメージしたのは、プロ
野球選手の田中将大さんのピッチングスタイ
ル。田中さんは状況に応じて速球の速さに緩
急をつけて投げる。ピンチではない時や、相
手バッターが下位打線の時は140キロぐらい
に抑えて投げ、ピンチになればなるほどギア
を上げていき、155キロの速球で抑えるので
ある。このように、ピンチ以外はなるべく省
エネで投げられるような準備をして登った。

テント生活の時も、「いかに楽をするか」を
考えた。山を登る時間よりもテント生活の方
が長いので、いかにここで疲れないようにす
るかが重要。そのためにも刺激を最小限にし
たいので、人間関係も必要最低限の気遣
いし
かしないし、本を読んだり音楽を聴いた
りと
マイペースに過ごす。
にかく、テントの中
は力を抜く場。

実際に、スローペースで進んだこともあって
か、頂上まで全力のスイッチ
をいれることな
くリラックスして登れた。(
正直どこまでリ
ラックスしていけるかわから
なかったが)全
力を出したのは、猛吹雪でホ
ワイトアウトし
たデナリ・パス(デナリ最難
関所)を降る時
だけだった。

登山経験も人生経験もまだ乏しい私が言うと
説得力がないが、未路峰を除く登山は、ある
程度コースがわか
っているので、「勝負所」
がどこなのか解り
やすい。(雪崩を除いて)
しかし、人生においては、ほとんどが勝負所
がどこだか解らない局面ばかりなので、
「見
極める力」が重要だと思う。「勝負所」がど
こか解らないと、「力の
抜きどころ」がわか
らない。(楽をするという意味ではなく、負
けても大丈夫という意味で)